通院前チェックをしてみる

妊娠・出産したとき

妊娠や出産、子育てに関わるさまざまな制度が用意されていますが、ここでは、出産・子育て応援ギフトや出産育児一時金など、妊娠や出産にかかる費用を軽減する制度を中心にご紹介します。
経腟分娩も可能ですが、母子感染予防の観点から、帝王切開を選択される場合には、保険診療の対象となり、高額療養費制度や重度障害者医療費助成制度の対象となります。
HIV感染症治療で受診している医療機関に産科・小児科がない場合などは、母子感染予防策を講じるために、現在の医療機関から他の医療機関に変わる必要が生じる場合があります。その場合は、「転院するとき」も参考にしてください。

このような支援制度が
利用できるかもしれません

出産・子育て応援ギフト(自治体によって名称が異なる場合があります)

出産応援ギフトは、市区町村が妊娠届出時に面談を行った上で妊娠している方に支給します。子育て応援ギフトは、出産後、出生届出から乳児家庭全戸訪問までの間に面談を行ったうえで、子どもの養育者に支給されます。

出産育児一時金

出産した時、加入している公的医療保険(※1)が支給します。出産時にまとまった現金を用意しなくてすむように、出産育児一時金を出産費用として公的医療保険から医療機関に直接支払う仕組みがあります。
※1 後期高齢者医療制度では出産に対する給付はありません。

出産手当金

出産する方が公的医療保険(※2)の被保険者で、出産のため仕事を休み、その間給与が支払われなかった時に公的医療保険を支給する制度です。出産日以前42日目から出産日翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間分が支給されます 。
※2 国民健康保険では任意給付となっているため、給付の有無については加入している公的医療保険にご確認ください。

出生時育児休業給付金・育児休業給付金

被保険者が子どもの出生後8週間までに合計4週間分(28日)までの産後パパ育休(出生時育児休業)を取得し、定められた要件を満たした場合、出生時育児休業給付金を支給する制度です。同様に、1歳未満の子どもの養育のために育児休暇を取得し、定められた要件を満たした場合、育児休業給付金が支給されます。

高額療養費制度

医療機関を受診したときにかかる診療費や治療費、調剤薬局などで処方される薬剤費として支払った医療費の負担(月額)が高額になったとき、その経済的負担を軽くするために設けられた制度です。高額療養費制度を利用すると、1ヵ月(その月の1日から月末まで)の医療費について、決められた上限金額(自己負担限度額)を超えた自己負担額は医療費の給付を受けることができます。また、医療費が高額になることが事前にわかっている場合は、加入している公的な医療保険から「限度額適用認定証」の交付を受けておき、医療機関等の窓口に提示することで、窓口での支払い額を自己負担限度額の範囲に抑えることができます。

付加給付

加入している公的医療保険が健康保険組合の場合は、組合独自の付加給付を支給する制度を設けている場合があります。給付の有無や金額、手続きは健康保険組合によって異なります。詳しくは加入している健康保険組合へお問い合わせください。健康保険組合のホームページに詳細が記載されている場合もあります。

重度心身障害者医療費助成制度 (自治体によって名称が異なる場合があります)

身体障害者手帳を交付された方で受給要件を満たした場合に、医療費の自己負担額の一部か全額が助成される制度です。お住まいの地域によって、対象となる障害の程度や所得制限、自己負担額は異なります。詳しくは自治体の担当窓口へお問い合わせください。健康保険に付加給付制度がある場合には、重度心身障害者医療費助成制度の利用について申告を求められることがあります。健康保険組合にお問い合わせください。健康保険組合とのやり取りに不安を感じる場合には、医療ソーシャルワーカーにご相談ください。通院先の医療機関に医療ソーシャルワーカーがいない場合には、全国にある「ブロック拠点病院」の医療ソーシャルワーカーにご相談いただくことが可能です。

医療費控除

1~12月に支払った医療費が一定額を超えた場合、その金額をもとに計算された額が所得控除の対象となり、所得税が軽減される制度です。妊娠後の定期検診などの費用、通院にかかった費用、出産で入院する時のタクシー代、入院中の食事代なども医療費控除の対象になりますが、かかった医療費から、公的医療保険より支給された出産育児一時金の金額を差し引く必要があります。

公的保険制度を利用して治療を受けても、本人の同意なく個人情報が第三者に知られることはありません。

上記の支援制度のお問い合わせ先

制度 主なお問い合わせ先
(自治体によって異なる場合があります)
出産・子育て応援ギフト お住まいの市区町村の担当窓口
出産育児一時金 加入している公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、国民健康保険など)
出産手当金 加入している公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽ)
出生時育児休業給付金・育児休業給付金 最寄りのハローワーク
高額療養費制度 加入している公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、国民健康保険など)
付加給付 加入している公的医療保険(健康保険組合)
重度心身障害者医療費助成制度 お住まいの市区町村の担当窓口(身体障害者手帳の担当窓口とは異なる場合があります。)
医療費控除 お住まいの地域を管轄する各国税局の電話相談センター

さらに支援制度について詳しく知りたい方は主治医や医療機関のソーシャルワーカーにご相談ください。その他に治療に関する悩みや体調について主治医に相談したいことはありませんか? 通院時に相談したいことをまとめるために、簡単なチェックリストであなたが抱えている悩みや、心身の状態などを整理できる「対話を深める通院前チェック」を活用してみましょう。

厚生労働省「出産・子育て応援交付金の概要について」
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/001035057.pdf (2024-07-05 時点の情報を基に作成)

東京都福祉局「東京都出産・子育て応援事業 ~赤ちゃんファースト~」
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/tokyo_shussankosodateouen.html (2024-07-05 時点の情報を基に作成)

厚生労働省「出産育児一時金の支給額・支払方法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shussan/index.html (2024-07-05 時点の情報を基に作成)

全国健康保険協会「出産に関する給付」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31712/1948-273/ (2024-07-05 時点の情報を基に作成)

厚生労働省「我が国の医療保険について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken01/index.html (2024-07-05 時点の情報を基に作成)

こども家庭庁「流産・死産等を経験された方へ」
https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/ryuuzan (2024-07-05 時点の情報を基に作成)

厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001126859.pdf (2024-07-05 時点の情報を基に作成)

厚生労働省 育児休業制度特設サイト「その他・相談窓口」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/ikuji/connection02.html (2024-07-05 時点の情報を基に作成)

厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ (平成30年8月診療分から)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf (2024-07-05 時点の情報を基に作成)

厚生労働省「健康保険法(健康保険組合の付加給付)」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=84024000&dataType=0 (2024-07-05 時点の情報を基に作成)

中四国エイズセンター「重度心身障害者医療費補助制度(福祉医療)について」
https://www.aids-chushi.or.jp/shakai_fukushi/02/2.html (2024-07-05 時点の情報を基に作成)

国税庁「No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1124.htm (2024-07-05 時点の情報を基に作成)

このページの内容は2024年7月時点のものです。今後、制度が改正される可能性があります。
支援制度を利用される際には、公的機関の担当者や主治医、医療機関のソーシャルワーカーなどの医療関係者にご相談ください。

岡本 学 さん

ご監修
国立病院機構 大阪医療センター
HIV/AIDS先端医療開発センター HIV地域医療支援室 ソーシャルワーカー
岡本 学 さん