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食事とHIV

食事が健康におよぼす影響

一般に、栄養バランスの良い食事を適切にとることは、免疫力の向上につながります。HIVに感染すると免疫力が低下するため、なおさら健康的で栄養価の高い食事が重要になります。HIV治療薬の中には食事や飲み物の影響を受けるものもありますので、詳しくは主治医に相談してください。

栄養バランスの良い食事

栄養価の高い食品とその健康的な摂取方法としては、次のようなものがあげられます 。

  • 主食 (米やパン、麺類など) 、主菜 (魚、肉、卵、大豆製品など) 、
    副菜 (野菜類) をバランス良く組み合わせた献立
  • 牛乳・チーズやヨーグルトなどの乳製品
  • 多めの野菜と適度な果物
  • 適切な摂取量
  • できるだけ新鮮な食材を用い、加工食品をさける
  • 塩分は控えめに

今の食事内容を主治医と一緒に見直して、1日に必要な栄養素をしっかりと摂取できるようにしましょう。

ビタミンやミネラルなどのサプリメントについて

栄養バランスの良い食事には、身体に必要な量のビタミンとミネラルがすでに含まれています。サプリメントの一部にはHIV治療薬との併用が望ましくないものもあるため、使用前に主治医と相談してください。

ビタミンA
代謝に必要
レバー、うなぎ、卵、緑黄色野菜、牛乳、乳製品
ビタミンB1
抗酸化作用
豚肉、大豆、玄米、チーズ、牛乳、緑黄色野菜
ビタミンB2
抗酸化作用
レバー、肉、魚、卵、大豆、緑黄色野菜
ビタミンB6
抗酸化作用
レバー、肉、魚、大豆
ビタミンC
代謝に必要
野菜、果物
ビタミンD
カルシウムの吸収を助ける
バター、肝油、魚、きのこ類 (干し椎茸など)
ビタミンE
代謝に必要
植物油、アーモンド、落花生、うなぎ、緑黄色野菜

食事と心臓の健康

心臓を健康に保つための食事

HIVは心臓に代表される循環器に影響をおよぼしますが、健康的な食生活はその健康を保つのに役立ちます。HIVと心臓の健康の関係については、“HIVと心臓の健康状態”のページをご覧ください。
心臓を可能な限り健やかに保つためにできることはたくさんあります。まずは自分の現在の状態を把握し、必要に応じて食生活を見直しましょう。

BMI (体格指数) の計算

BMIとは、国際的に用いられている肥満度を表す指標で、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で計算することができます。
肥満の判定基準は国によって異なり、日本肥満学会が定めた基準ではBMI18.5以上25.0未満が普通体重、25を超えると脂質異常症や糖尿病、高血圧などのリスクは2倍以上に増加するとされています。
BMIを計算するためのさまざまなアプリが無償で提供されています。ダウンロードして、自分の数値をチェックしてみましょう。

腹囲の測定

腹囲 (へそのまわりのサイズ) は、肥満度を知るもう一つの指標です。内臓脂肪蓄積の目安とされ、日本では男性の場合85cm以上、女性は90cm以上、かつ血圧値、血糖値、脂質値のうち2項目が基準値から外れるとメタボリックシンドロームと診断されます。この基準を頭に入れて、生活習慣の改善につなげましょう。

塩分摂取量の節制

塩分をとりすぎると血圧が上がり、心疾患や脳卒中を発症するリスクが高まります。
一日の食塩摂取量の目安は、6g未満が望ましいとされていますが、日本の食生活は醤油や味噌、漬け物など塩分の高い食品が多く、外食にも目に見えない食塩が隠れているため、可能な限り控えるなど常に注意が必要です。
めん類の汁を残したり (2~3gの減塩が可能) 、低塩の調味料を使うなど、工夫して減塩につとめましょう。

食事中の飽和脂肪酸量の節制

飽和脂肪酸は、ソーセージ、ハム、ハンバーガーなどの加工肉や脂肪の多い肉、ラード、バターなどに多く含まれていて、血中のLDLコレステロール値を上昇させ、心疾患発症のリスクを高めます。*

油をオリーブオイルやなたね油などの植物由来の一価不飽和脂肪酸に置き換えるなど、工夫して飽和脂肪酸量の摂取を抑えましょう。
オリーブオイルにはオレイン酸が多く含まれており、血中のコレステロールを下げる効果もあります。

* 「日本人の食事摂取基準 (2020年版) 」策定検討会報告書. 厚生労働省.
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html (参照 2020-01-21)

食事と骨の健康

骨を健康に保つための食事

HIVは骨に骨密度の低下などの影響をおよぼしますが、健康的な食生活は骨を健やかに保つのに役立ちます。HIVと骨の健康の関係については、“HIVと骨の健康状態”のページをご覧ください。

骨の健康を保つための食生活のヒント

骨の健康を良好に保つために、次のような食生活を心がけましょう。

  • 骨の重要な構成成分であるカルシウムを十分にとる (カルシウムは牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品、緑黄色野菜、豆類、海藻類に多く含まれている )
  • カルシウムの吸収を促すビタミンDやビタミンKなどの栄養素も過不足なくとる
  • アルコールには利尿作用があるため、過度の飲酒により必要な分のカルシウムまで排出されることがある。場合によっては、飲酒量を減らすために専門家の支援を受ける

ビタミンとミネラルのサプリメントの中には、HIV治療薬との併用が望ましくないものもあります。使用前に主治医と相談してください。

食事と肝臓の健康

肝臓を健康に保つための食事

HIV治療薬は主に肝臓で代謝されるため、肝機能障害を起こすことがあります。HIVと共に生きる人々にとって、治療を続けていくためにも肝機能を維持することが重要です。栄養バランスの良い食事は肝臓の健康を保つのに役立ちます。

肝臓を健康に保つための食生活のヒント

肝機能を長く良好に保つために、次のような食生活を心がけましょう。

  • 揚げ物や炒め物など油を多く使った料理をさけ、調理にも不飽和脂肪酸を多く含む油を選ぶ
  • 脂肪分を多く含む食品の摂取に注意する
  • 栄養バランスに気を配る
  • 過度の飲酒をさけて、自分だけで飲酒量を減らすことが難しい場合は、専門家に相談する

食事と腎臓の健康

腎臓を健康に保つための食事

HIVは、療養の感染に伴い腎機能に影響をおよぼすことがあります。健康的な食生活は腎臓を健康に保つのに役立ちます。HIVと腎臓の健康の関係については、“腎臓の健康”のページをご覧ください。

腎臓を健康に保つための食生活のヒント

腎機能を長く良好に保つために、次のような食生活を心がけましょう。

  • 栄養バランスのとれた食生活を続け、必要量の栄養素とミネラルを摂取する
  • 食塩のとりすぎに気をつけて、飽和脂肪酸の多い食品はさける
  • 過度の飲酒をさけて、カフェインのとりすぎに気をつける
  • 水分をしっかりとる

食事とメンタルヘルス

メンタルヘルスを良好に保つための食事

メンタルヘルスの問題は、HIV陽性かどうかにかかわらず誰でも直面することがあります。健康的な食生活を続けることは、気持ちのバランスを取り、幸福感を高めるのに役立ちます。メンタルヘルスとHIVの関係については、“HIVとメンタルヘルス”のページをご覧ください。

メンタルヘルスを良好に保つための食生活のヒント

こころの健康を保つために、次のような食生活を心がけましょう。

  • 間食を避け、規則正しく食事をとる
  • 主食、主菜、副菜の栄養バランスの取れた食事を心がける
  • ビタミンやミネラルを適切に摂取する (これらの不足は、うつ病の発症に関連すると考えられている)
  • 水分をしっかりとる
  • 過度の飲酒をさける