通院前チェックをしてみる

HIVと腎臓の健康状態

HIV陽性者には腎臓病の合併が
よく見られます。
腎臓の健康に影響を及ぼすその他の要因
とともに、関係性を理解しましょう。

腎臓について

腎臓は、健康を維持するためにとても重要な臓器です。身体から老廃物を取り除き、体液のバランスを保って血圧を調整するほか、血液中の電解質 (塩分やミネラル) のバランスを取るなど、さまざまな役割を担っています。

腎臓が正常に機能しなくなると、これらのバランスが崩れてしまい、やがて深刻な健康問題を引き起こします。

身体の機能は、HIV陽性かどうかにかかわらず、ほとんどの人が年齢と共に徐々に低下します。腎臓も例外ではありません。一度低下した腎機能は元に戻りませんが、さまざまな対策でその速度をゆるやかにすることはできます。

腎機能が低下する理由

次のような生活習慣や要因が挙げられます。

  • 喫煙や過度の飲酒、不適切な薬物の使用
  • 高血圧や糖尿病の合併
  • 薬剤の服用 (HIV治療薬を含む) *
  • C型肝炎ウイルスの感染
  • HIV治療薬を正しく服用しなかったことによるHIV関連腎症 (HIV-Associated Nephropathy;HIVAN) の発症

*市販薬やサプリメントを含め、服用しているお薬は全て主治医に知らせてください。

腎臓病について

HIV陽性者は定期的に腎臓機能検査を受けているため、腎臓病の多くは早期に発見されます。

腎臓病のリスクの評価

発症の危険性は、次のような方法で評価されます。

  • 腎臓病の家族歴の確認
  • 食生活や運動量の確認
  • 飲酒や喫煙状況の確認
  • 高血圧や糖尿病など合併症の確認
  • C型肝炎感染の確認
  • 併用薬の確認

HIVと腎臓との関係

HIVへの感染や治療が及ぼす影響

腎臓の健康には、HIVに限らず年齢や生活習慣、家族歴、他の感染症や慢性疾患といったさまざまな要因が影響をおよぼしますが、国内のHIV陽性者における慢性腎臓病 (CKD) 有病率は、非陽性者より高いことが示されています。

HIV感染者の高度腎疾患のリスク

HIV感染者38,354例と一般集団の進行腎疾患の発生率*
(NA-ACCORD and US Renal Database System, 2000-2009 海外データ)

HIV感染者の高度腎疾患のリスク

*Abraham AG , et al.: Clin Infect Dis 2015; 60 941.
Chronic Kindey Disease Stages & Living with CKD. DaVita.
https://www.davita.com/education/kidney-disease/stages

Adapted and translated by permission of Oxford University Press on behalf of the Infectious Diseases Society of America.
OUP and the IDSA are not responsible or in any way liable for the accuracy of the translation. Gilead Sciences K.K. is solely responsible for the translation in this publication/reprint.

改善のためにできること

HIV量を検出不能なレベルにまで抑えることができれば腎不全のリスクは低下しますし、腎機能は定期的な検査で常に確認できます。

また、生活習慣をほんの少し改善するだけで、年齢を重ねても腎臓を良い状態に保つことができます。

まずは主治医に次のことについて相談してみましょう。

  • 腎臓をできるだけ健康に保つための生活習慣
  • HIV量のコントロールについて
    (HIV量を検出不能なレベルにまで抑えることは、腎臓の合併症リスクを減らすのに役立ちます)
  • 血圧や血糖値の検査結果について
  • HIV治療薬による腎機能への影響について

腎臓病と診断された場合

腎臓病は治療を受けることで適切にコントロールできます。治療法もさまざまあり、罹患した原因やその他の健康上の問題に応じて選択することができます。具体的には次のような方法です。

  • 生活習慣の見直し
    食事内容の変更、継続的な運動により、腎臓病のリスクを軽減して血圧を下げる
  • HIV治療薬の見直し
    腎臓で分解 (排泄) されて問題を引き起こすお薬もあるため
  • HIV治療薬と併用している服用薬の見直し
    腎臓の働きに影響するお薬が含まれている可能性があるため

どのような治療ができるのか、主治医に尋ねてください。また、服用中のお薬に気がかりなことがあれば、それも伝えましょう。