HIVと心臓の健康状態
HIVが心臓病の発症リスクを
高める場合があります。
その他の要因も理解し、日頃から心臓の
健康状態を把握しておくことが大切です。
心臓病について
代表的な病気としては、冠動脈疾患、不整脈、心不全、心臓弁膜症、肺動脈性肺高血圧症などが挙げられます。
心臓病の原因には遺伝要因もありますが、喫煙や過度の飲酒、飽和脂肪酸 (バターや脂肪の多い肉、クリームなど) のとりすぎ、運動不足といった生活習慣も影響します。
心臓病になるリスクは年齢と共に高まり、一部の薬剤、感情的なストレス、身体運動、さまざまな病気などの要因も心臓に負担をかけます。
心臓病のリスクの評価
発症の危険性は、次のような方法で評価されます。
- 食生活と喫煙などの生活習慣の確認
- 年齢や血圧、コレステロール値のチェック
- 糖尿病の罹患、あるいは罹患する危険性のチェック
- 服用中のHIV治療薬の見直し
喫煙が及ぼす影響
HIV陽性者の喫煙率は、非陽性者よりも高いとされています。喫煙者は、喫煙経験がない人と比べて、心疾患を発症するリスクは約3倍に上ります。
心臓の健康のためには、禁煙が最も効果的な方法です。禁煙するためにはどうすればよいか、主治医に相談してみましょう。
HIVと心臓との関係
HIVへの感染や治療が及ぼす影響
HIV陽性かどうかにかかわらず、心臓病になるリスクは年齢と共に高まります。しかし、HIVの影響が長期にわたると、ウイルスそのものが心臓病のリスクを高めることがあります。
まずは主治医に、次のことについて相談してみましょう。
- 定期的な血圧やコレステロール値測定の必要性と、糖尿病などの合併リスクについて
- HIV治療薬が心臓の働きや治療の選択に及ぼす影響について
HIV感染者の急性心筋梗塞 (AMI) のリスクは、
非感染者よりも高い
HIV感染者と非感染者のAMI発症率*
(VACS仮想的コホート, 2003–2009 海外データ)
*フラミンガムリスク因子、併存疾患、薬物使用で調整後、退役軍人のうちHIV感染者の急性心筋梗塞
(AMI) のリスクは非感染よりも高かった
(HR, 1.48; 95% CI, 1.27-1.72)
Freiberg MS, et al.: JAMA
Intern Med 2013; 173: 614.を参考に作図
心臓病と診断された場合
心機能の低下を防ぐために、次のように生活習慣を改善しましょう。
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健康的な食生活や運動習慣を続ける
将来の心臓病リスクを減らすのに役立ちます。 -
たばこをやめる
禁煙するのに遅すぎることはなく、心臓発作後であっても再発予防につながります。
心臓病の治療薬には、作用の異なるさまざまな種類があります。代表的なお薬は以下の通りです。
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血液をサラサラにするお薬
低用量アスピリンなど -
コレステロール値を下げるお薬
スタチンなど -
血圧を下げるお薬 (降圧薬)
アンジオテンシン変換酵素阻害薬 (ACE阻害薬) やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬 (ARB) など - 血管を拡げるお薬 (血管拡張薬)
不安な点や質問があれば、主治医に尋ねてください。